会計士ブログ⑤原価計算のはじまりについて

こんにちは。会計士のryojitanといいます。本日は、製造業ではなくてはならない原価計算について書いていこうと思います。

 

原価計算は工場で製品を作るようになった19世紀末のアメリカで、1つあたりの製品原価を把握するために考案されました。それまでの会計は主に外部に対する報告の役割が強く、この製品の原価を計算することは、投資家や債権者へ報告のための財務会計と損益管理の管理会計に分岐するターニングポイントであったと思われます。当時は産業革命後で機械を使った製品の大量生産が主流となり規模を追求するようになります。アメリカは移民大国で思考も文化も違う人々の集まりであったことから、なるべく標準化された管理によって経営がされる必要がありました。標準化された小品種の製品を機械によって大量生産していきます。大量生産されるようになると、経営者は製品1つあたりのコストがいくらになるか知る必要があります。製品原価に直接結びつく材料費は直感的にも計算しやすいものの、直接的な結びつきがない労務費や、大量の機械を導入したことにより発生した減価償却費をどのように製品原価に落とし込むんでいくのかが課題となりました。そのような中で工場で製品一つ当たりの原価を測る仕組みが、原価計算として形成されていきます。

 

19世紀末に考案された原価計算はあくまで大量生産と規模を追求した結果、製品1つあたりの支出を正確に把握するために必要なツールとして考案されたもので、これを実際原価計算といいます。それが20世紀前半になり、効率を追求した結果登場した標準原価計算によって大きく飛躍します。20世紀前半には、大量生産による無駄をなくしていくため効率が目指され、効率を高めるためにコスト削減がされていきます。大量に生産する事から安く作ることを考えはじめた製造業は、テイラーの科学的管理法を会計に応用した標準原価計算を使い始めます。標準原価計算によって様々な無駄が見える化していき、効率化は後に予算管理の分野でも用いられるようになっていきました。